秋山黄色 5th AlbumMagic if2026.3.11 Release

Self Linernotes

  • 1. DO NOT DISTURB

    一曲目
    とにかく死にたい曲
    当初「薬を減らしていければいいな」というサビだった
    いつも死にたくない俺が死にたいかけがえのない時間 しかしそれはかけ違えほどのものです
    もしも死にたいと思えたら、くらいの

  • 2. Quest

    さんざっぱら話したと思いますが
    久しぶりにハイスピードなギターロックですな
    Questが ReQuestに変わる頃、
    きっと意味がわかるかもしれません

  • 3. INSOMNIA

    もともと眠れないのとSNSのタイムラインを掛け合わせて作った曲
    キャンプしたり、自殺を仄めかしたり、好きに使えばいい のにねえ
    ずっと気を遣ってる

  • 4. マイペース・イズ・マイン

    もともとは俺が歌う予定ではなかった曲
    マイペースをもっと分解して聞きやすくしてみました いい曲です

  • 5. 風鈴

    俺が好きなだけ
    夏の歌というと海、だとかスポーツ、のような
    爽やかな曲が多いので
    嫌な夏の部分を書きました
    ジメジメして、焦って汗をかく
    かっこいいです

  • 6. ながれぼし

    流れ星は星ではありません
    どこか牧歌的で、それでいて涼しい夜風を感じれたら幸いですな

  • 7. Wannabe

    漫画「超人X」とのコラボで書いた曲です
    人智を超えた力を持ったから超人なのではなく、
    超人に至ってしまうようなコンプレックスも超えていける人をそう呼びたいですな
    超人は、「超、人間」なのだ

  • 8. 魔法のもしも

    俺の思考原理

    もしもこうだったらな
    そして、そんなわけがない世界で
    そんなわけがない自分を今日も生きるよ

Official Interview

現実と生きる苦しみに向き合った5枚目 秋山黄色のイフストーリー

取材/文:柴 那典

── アルバム、とても良かったです。まず制作のきっかけはどんなところにあったんでしょうか。

作るきっかけは、基本的にはもうそろそろだなというタイム感だったりするんです。今回は、ライブを頑張っていたら、なんやかんや2年ぐらい空いてしまって。で、この3年くらいは病院通いなんですけど、治療を続けて、ちょっとよくなってきたんですよね。もともと僕は「宇宙とは」「死とは」みたいな哲学的な悩みが多くて、そういうことばっかり曲に書いてきたんです。でも最近は、脳機能的にもニュートラルな状態に近づいていった。そうなってくると、今までより一般的な悲しさや幸せについて歌詞に冷静に書ける余白が自分の中に生まれた。ただ、急に人が変わったようにそういうことを書いたら、リスナーを置いてけぼりにしてしまう。だから最初はイフストーリーだということにして書いていこうかなと思ったんです。

── そういうところがアイデアの種になった。

そうですね。だからもっと根源的な、考え方の基礎的な部分を書きたいと思った。それが「魔法のもしも」という曲です。そこで「たられば」みたいな話を書いて、「でも、そうではない世界を生きている」という仕組みになるように作ろうと思った。最終的にそういう本質的な部分に着地する構造にしたいと思っていました。

今はかなり生身で生きている感じがする

── 前のアルバム『Good Night Mare』以降の2年で、自分の内面にはどんな変化があったんでしょうか。

今は限りなく死の恐怖が薄くて。現実にかなり没頭している感じですね。今はかなり生身で生きている感じがする。でも、これが本来の自分なのか、今がイフなのか、それがぼんやりしているようなところもある。そこから掘り下げていかないと成立しないという気持ちがどんどん湧いてきたんです。それをパッケージ化するべきタイミングなのかもしれないというのは思いました。

── アルバムの中で重要な曲がふたつあり、ひとつが「魔法のもしも」、もうひとつがリード曲の「DO NOT DISTURB」だと思います。まず「DO NOT DISTURB」は「起こさないで」という意味の曲名ですが、これはどういうアイデアや発想から生まれてきた曲なんでしょうか。

『Good Night Mare』は、悪夢との正しい歩み方、この世がそもそも悪夢だと仮定した時にどうしたらいいんだということをモチーフに作ったアルバムだったんです。でも今回は、現実を一度示した上で、イフの話をしなきゃいけない。だから、現実逃避として強固に「起こさないで」と歌う。そこがスタートですね。今までは「死にたくない」って曲をずっと作ってきたんです。でも今回は、現実の苦しみに打ちひしがれているキャラクターを作って、死に方すら探している状態を一曲目に持ってくることが、構成上すごく重要だったんです。歌詞はシンプルに見えたりするんですけど、前作との接着もあるし、今作のラストの「魔法のもしも」との円環のためでもある。そういうポジションが大事な曲だったりするので。現実の捉え方と、歌い手の今の感じを出すために必要な曲でした。

── これがまさに、前作以降の変化が反映された曲になっていると。

そうですね。そしてシングル『Quest』のカップリングに入れた「ブランコ」という曲があって。あそこに書いたのは僕のパーソナルな話なんですが、おそらく僕は睡眠恐怖症で。だから今現実的にも毎日3時間ぐらいしか寝れていない。自然と意識を失うくらいずっと起き続けていて、最後は気絶するように眠るんです。「ブランコ」の歌い出しが「寝るのが怖いんだ」となっているのは、そういう理由なんですよ。それをしっかり反転させるためにアルバムの1曲目は「起こさないで」という曲にしている。そういう流れもあります。

── だから「ブランコ」で歌っていること、それから「INSOMNIA」で歌っていることっていうのが、まさに深夜に思うことのリアルなドキュメントであると。

はい。これを一旦ひっくり返していくのが必要だったっていう感じですね。

とにかく「死にたくない、現実って何なんだ?」とばかり歌ってきたんです

── この曲の歌詞で「死にたいんだ」と繰り返すわけですが、それと対になるように「決まって熱い呼吸をした」と歌うわけですよね。もし死に引っ張られているのであれば「死にたくない」という言葉になる。逆説的ですが、強烈に「生」のほうに引っ張られているからこそ、「死にたい」という言葉のニュアンスが生まれるというか。

そうですね。哲学的なものじゃなくて、もっと一般的な恐怖という感じです。現実が辛くて、死にたくなって、でも希望もあってという。今まではこういう感情をすっ飛ばして、とにかく「死にたくない、現実って何なんだ?」とばかり歌ってきたんです。でも今は地に足がついているからこそ、現実の普通の出来事もちゃんと苦しい。そうなると自分はどういう感情を持つのか?というのが、この後の何曲かに続く仕組みになっています。だからこそ「これはイフストーリーだ」という前提で書く必要があった。そう設定したことで、逆に書ける言葉がすごく広がったんです。いろんなところに視線を向けて、いろんなものに対して歌を作れる。この仕組みを使っていろんなことが書けるんだという一面を見せられたらなという目的があったので。1曲目として結構重要な役割がありますね。

── 今おっしゃった「このアルバムがイフストーリーである」ということが「魔法のもしも」という曲のテーマでもあるわけですよね。でもこれは噛み砕いて話していただかないとわかりづらい概念でもあると思うので、まずはシンプルにこの曲の発想がどういうところから生まれたのかを教えて下さい。

まず大前提として、死ぬのが怖いんですよ。その恐怖はみんなうっすらと持っていると思うんです。だから、じゃあ一体死の何が怖いのかっていう話をしなくちゃいけない。いわゆるタナトフォビアと言われるような死の恐怖症っていうのは、そこからいくつかの恐怖症につながっていくんです。一つは意識の消失に対する恐怖、もう一つは無に対する恐怖で、もう一つ結構大事なのが無限に対する恐怖。もっとたくさんありますけど、僕はポピュラーなその3つが怖い。

あったかもしれないもう一つの世界の話をすることで、そうじゃない世界で生きなきゃいけないということが伝わる

── なるほど。それぞれどういう恐怖なんでしょうか。

意識の消失が怖いということは、僕の睡眠恐怖症につながっていて。現実に起きている状態から夢が開始する瞬間に移行する時の記憶を誰も持ってないんですよ。あそこって無じゃないですか。あれが僕にとっての死なんですね。ただ、これは死の恐怖の中では弱い。科学でなんとかなるかもしれない。要するに命は記憶なので、だから記憶さえ受け継がれていけば、別に大した問題ではなくなるかもしれない。人間の記憶を何か別のものに移して、肉体が滅んでしまう時には別の媒体に移して生き永らえていくことだって、可能そうじゃないですか。

── SFでは描かれる世界ですし、技術的に不可能とは誰も言えない。

遠い話じゃなさそうなんですよね。でも、こういった「もしも」はまだ「もしも」の域を出ていない。それが怖い。そして、やっぱり無が怖い。どこまでこの感覚を掴んでいるかっていうのが、この恐怖に苛まれる人とそうじゃない人の差だと思うんです。「死んだ後はどうなるんだろう?」と考える人はいっぱいいると思うんですけど、僕は生まれる前のことを考えるんです。自分が物心つく前の感覚を思い出そうとしても思い出せない。もっと言うと、自分が母親の胎内に入っていた記憶もない。思い出せるわけもないし想像もできないですよね。そこから遡ると、もともと僕らって目に見えないぐらいの微生物じゃないですか。そしてそのもっと前、母親が生まれる前って、どんどん遡っていくことができるわけです。そうしたら、全く何もない、ぼんやりした無がある。死んだ後のことを考える時は、瞼を閉じた暗闇が広がっているんですよ。でも生まれる前の方がもっと無に近い。

── 無限に対する恐怖というのはどういうものなんでしょうか?

無限の恐怖というのは、俺が死んだ後も無限に世界が続いていくということですね。俺が2070年みたいな中途半端なところで死んだとして、地球という惑星の表面でピョンって生まれてパンって消失するだけですよ。たかだか80年くらいの間だけで。そこから先は、永久に続く時間の中で二度と俺という存在は発生しない。これが怖いんです。これを覆す「もしも」っていうのは、いわゆる不老不死じゃないですか。これはSFの題材として語り尽くされてますけど。

── 『火の鳥』未来編でもそうですよね。何億年経った生命体がほぼ無の世界を生きる苦しみが表現されている。そりゃ死にたいと思うかもしれない。

そうです。僕らが人生において享受できる感性のほとんどって多分500年近くで使い切るはずなんですよ。ずっと生き永らえてもやることがない。でも僕らは100年ちょっとで死ぬから、ギリギリ死にたくなくて、ギリギリ生きている。そういう特殊なデザインになっている。本質的にはみんなそうだと思います。僕はきっと暗闇とか無っていう形のないものをキャッチする想像力が豊かで、深淵に触れてしまうから怖い。この感覚をしっかり綴ってみようという。

── そういうことを曲として表現しようとした。

なんで怖いかっていうのは、たぶん説明不可能なんで。結局のところ、人生の目的であり救済の道って、命より優先できるものを見つけるってことで。これのためだったら死んでもいいっていう。これが僕の今はっきりとした目的であり、そして常に言ってることである。それが音楽の中にあるような気がしてならない。だから音楽をやっているんです。

── なるほど。

人々が「もしも空が飛べたり」とか「もしも宝くじが当たったら」みたいな話をするのは、ささやかな幸せを感じるためだと思うんです。でも、僕にとって無の恐怖を無くす「もしも」は、これくらい途方もないことで、絶対にありえない。絶対にありえないからこそ、僕はこの最悪な現実にいるんだってことが、今までのアルバムよりもハッキリするわけです。これは「たられば」の話、「もしも」の話なんだと。あったかもしれないもう一つの世界の話をすることによって、聴き終えた後に、そうじゃない世界で生きなきゃいけないということが伝わる。自分はそこで何かをしたり何かを享受したりする。あの「もしも」には到達しないかもしれないけど、「こんなところで死ぬわけにいかない、まだ何かあるんじゃないか」って思うわけです。最悪な現実の輪郭を捉えるために、もしもの話をたくさんする。だから結局、最後はリアルなところに着地するんですよね。そういう僕の考え方が『魔法のもしも』としてしっかり伝わると、アルバムの流れが完成するなという感じです。

作詞もかなり自信がありますね。それもしっかり見せられたなって。

── ちなみにアルバムの中で僕が一番グッときたのは「ながれぼし」でした。「DO NOT DISTURB」と「魔法のもしも」がスケールの大きい曲なので、「ながれぼし」みたいな小さなことを歌っている曲はすごく愛らしいし、カントリー的なスタイルも相まって、すごくいい感じだなと思いました。この曲はご自身の中の位置づけはどうですか?

まさに、「魔法のもしも」みたいな曲を書いた上で、こういう小さいしょうもないことも書けますよ、という作詞作曲の強度を見せられたらと思って書きました。作詞もかなり自信がありますね。それもしっかり見せられたなって。

── 「魔法のもしも」みたいな曲を作れたから誠実に歌えるタイプの曲かも。

逆にそうですね。「魔法のもしも」を作らずにこういう曲を急に書き出したら嘘なので。「そんなこと思ってんの?」ってなっちゃうから。アルバム単位だからこそ聴けるっていう、仕組み上良かったなっていう感じですね。

── ライブについても最後に聞かせていただければと。3月のライブはどういう場にしたいと思っていますでしょうか。

僕、これまで何年かはライブ力を鍛えていきたくて、あまり演出をしないようにしてたんですね。でも、いろいろまたライブの形として完成度を上げていくために、いろんな仕掛けを作ったりしてやるので。2公演だけですけど、音楽で表現しているものを視覚的にも少し拡張して、没入感を高めていこうかなと思いますね。

Release

秋山黄色 5th Album「Magic if」

発売日:2026年3月11日(水)

 

≪初回生産限定盤(2CD+Blu-ray)≫

アナログサイズジャケット仕様

品番:ESCL-6220~6222 

価格¥8,300(tax in)

CD収録曲(初回/通常共通):

1.DO NOT DISTURB

2.Quest

3.INSOMNIA

4.マイペース・イズ・マイン

5.風鈴

6.ながれぼし

7.Wannabe

8.魔法のもしも

 

■初回生産限定盤特典

DISC2 EP『Scissor Hands Up』

1.ネイルイズデッド feat. 100回嘔吐

2.Nemophila feat. yama

3.夜においていかれました feat. TOOBOE

4.黒になる feat. Neru

 

DISC3 Blu-ray:

秋山黄色 presents「BUG SESSION vol.2」

at 東京キネマ倶楽部 2025.09.05 本編映像

Kiro Akiyama 5th Anniversary Document

 

≪通常盤(CD Only)≫ 

品番:ESCL-6223 

価格:¥3,500(tax in)

akiyamakiro.com

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